クールな許嫁の甘い独り占め。
戻ってきたら、いよいよ試合が始まるというところ。
正にお互い挨拶をしているところだった。
まずは先鋒。素早い小手が決まり、まずうちの学校が一勝!
だけど相手も負けてない。次鋒は相手の学校が取った。
さて、重要な中堅戦でいよいよ蒼永の登場となる。
「蒼永!がんば…、」
「九竜くーーーーん!!!!」
…わあ、すごい。
蒼永が前に出た途端、黄色い大歓声。
「咲玖!負けてないで声張りなさい!」
「あ、うん」
声張ってもこんなに歓声がすごかったら聞こえない気もするけど。
とは言え、お腹から声を出してみた。
「蒼永ーー!!頑張ってーー!!」
すると、蒼永がチラリとこっちを見た気がする。
防具を着用してるから私を見たのかどうかはわからない。
でも、なんとなく私を見た気がする…。
ドキッとした瞬間、試合が始まった。
開始直後から相手選手は積極的に攻めていく。
相手の攻撃を見極め、上手く応戦する蒼永。
「ちょっと九竜!もっと攻めなさいよ!」
「まあまあ桃、落ち着いて見ようよ」
桃ちゃんは意外と熱くなってるけど、私は大丈夫な気がしてる。
だって、蒼永は強いから。
一瞬の隙を見逃さなかった。
素早く相手の懐に潜り込み、怒涛の一本が決まる。
「一本!」
「キャアーーーー!!!!」
やったあ!蒼永の勝ちだ!