クールな許嫁の甘い独り占め。
――ん?リュウ??
「やっぱりリュウだ!この学校だったんだね!」
あれ、あの子って…さっきの女の子じゃない?
対戦高校のジャージに黒髪ショートカット。間違いない、さっきの子だ。
蒼永の知り合いだったの…?
「天野?」
「そう!うわあ、久しぶり!」
知り合いみたいだ…。
あだ名で呼ぶなんて結構仲良いのかな…?
声をかけられずその場に立ち尽くしていたら、蒼永が気づいた。
「咲玖」
「あっ、さっきはありがとうございました!」
「あ、えっと、いえ…」
「知り合い?」
「あたしの恩人なの!リュウこそ知り合い?」
「俺の許嫁」
言われ慣れてるはずの言葉に、トクンと胸が高鳴る。
「ええっ!?この子が噂の許嫁!?」
「そう。咲玖、こいつ中学時代の友達」
「天野紫帆っていいます!」
「あ、白凪咲玖ですっ」
「許嫁ってほんとにいたんだね!?しかも超絶かわいいからびっくりしたわ!」
「だからずっとそう言ってるじゃん…」
この子が、中学時代の蒼永の友達だったんだ…。
女の子だったなんて予想外だったかも…。
「さっきは本当にありがとう!まさかリュウの許嫁だったなんて…。良かったら紫帆って呼んでください!」
「あ、はい、じゃあ私も咲玖で」
「よろしくね咲玖ちゃん!」