クールな許嫁の甘い独り占め。
ちょっと話しただけでわかる、紫帆ちゃんいい子なんだろうな。
だってあの蒼永が友達になるくらいだし…。
なんだろう、蒼永に友達がいて良かったんだけど、
「まさかリュウがこっちに来てると思ってなかったから、対戦カード見てびっくりしたんだから!」
「俺も天野がこの学校だと思ってなかった」
「なんかまた強くなってない?」
「そう?」
「味方にいると心強いけど、敵に回ると厄介すぎ!でも個人戦は負けないからね!」
「天野が戦うわけじゃないのに?」
なんか、なんでかわからないけど、ものすごくモヤモヤする〜〜!!
「じゃ、また連絡する!」
「うん」
「またね!咲玖ちゃんもバイバイ!」
「またね…紫帆ちゃん」
颯爽と駆けていく姿がなんだかカッコイイな、紫帆ちゃんって…。
なのになんでモヤモヤするんだろう……。
「ごめん、お待たせ」
「ううん、ほんとに友達いたんだねっ。安心したよ!」
…あれ、ちゃんと笑えてるかな?
「…天野は、転校した小学校で知り合ったんだよ。俺と同時期に転校してきて」
「同時期に?すごいね」
「天野の親は転勤族らしい。その時は別のクラスだったし、他にも転校生がいたのかくらいにしか思ってなかったんだけど」
蒼永の話によると、進学した中学校で同じクラスになって話すようになったらしい。
紫帆ちゃんは剣道部のマネージャーとして入部し、数少ない寮生だったことから、親近感を覚えた紫帆ちゃんから話しかけたのだとか。
「昔から転校が多いから寮に入れば転校しなくて済む、って思ってたらしいよ。結局中3になる前に転校したけど」
「そうなの?」
「親の海外転勤が決まって、流石に保護者がいないと心配だからって、祖父母の家に行くことになったって言ってた」
「うわー、大変なんだね」