クールな許嫁の甘い独り占め。


* * *


その翌日、俺は咲玖には黙って放課後待っていた。


「あれ、蒼永?」
「お疲れ。今日は生徒会?」
「そうだけど…あれ、紫帆ちゃんは?」
「もう大丈夫だって言うから、咲玖のこと待ってた」
「え、一緒に帰れるの?」
「うん」
「ほんとに?うれしい…」


え、何それめっちゃかわいい。


「一緒に帰るの、久しぶりだね!えへへ」


いやマジでかわいいんだけど??
わざと?


「……」
「ちょっと蒼永!?ここ学校なんだけど!?」


たまらなくなって気づいたら抱きしめていた。


「咲玖がかわいいから…」
「いやあの誰かに見られるかも!」
「見られても良くない?」
「っ、」


なんだ?今日はいちいちかわいいな。
かわいすぎて都合の良いように考えてしまいそうになる。


「と、とにかく帰ろうよっ!」
「はいはい」


その時、スマホが鳴った。画面を見ると「天野」の文字。
一瞬にして嫌な予感がした。


「もしもし」

「…リュウ、たすけて…っ」


か細い声で助けを求める天野。予感は的中した。


「天野!?今どこにいる!?」
「うっ、ひっく…っ」


泣いて言葉が出せていない。
どうする?向かうにしても、咲玖が……


「行って蒼永!」
「咲玖」
「早く行かないと!!」
「っ、ごめん!」


俺はスマホを耳に当てたまま、走り出した。


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