クールな許嫁の甘い独り占め。
――えっ、咲玖!?
「咲玖!なんでここに!?」
「だって、心配だったから…っ」
何考えてるんだ、こんな危ないことに咲玖を巻き込みたくないのに。
なのに咲玖はズンズンとストーカーの前に進み、仁王立ちした。
「あなた紫帆ちゃんのこと好きなんじゃないの!?」
「すっ好きだよ!大好きだ!」
「じゃあどうして傷つけて泣かせるの?」
「うう…っ」
「本当に好きな人なら、怖がらせるようなことしないでしょう!!」
ストーカーは咲玖の言葉に口をつぐむ。
「一方的に自分の気持ちを押し付けてもダメなの。ちゃんと相手のことを考えなくちゃ。
今紫帆ちゃん、どんな顔してる?」
咲玖に言われ、ストーカーは天野の顔を見た。ずっと嗚咽を漏らして泣きじゃくる天野を見て、急にその場にへたり込む。
「僕、天野さんが初恋だったんです…僕なんかにも優しくしてくれて…すごく好きで…。
再会して僕のこと覚えてくれてて、運命だと思いました…」
「あなたにとって、大切な初恋だったんだね」
「はい…」
「その想い、あなたがめちゃくちゃにしたらダメだよ」
「すみませんでした…」
ストーカーはボロボロと涙をこぼしながら、天野に向かって謝罪した。もう二度と近づかないと頭を下げ、ストーカーは立ち去った。
「紫帆ちゃん大丈夫?」
「咲玖ちゃん…ありがとう…っ」
「紫帆ちゃんが無事でよかった」
「本当にありがとう…リュウも、ありがとうね…」
「ううん」