クールな許嫁の甘い独り占め。
8.ばれちゃった許嫁
蒼永と交際&正式に婚約して早1ヶ月。
学校ではエンゲージリングをペンダントとして胸元に忍ばせ、肌身離さず身に付けてます。
今こそ幸せの大絶頂!
……と、言いたいところだったのですが。
「実はしばらく実家に帰らなきゃいけなくなって。家の用事っていうか、じいちゃんの言いつけっていうか…」
「そ、そうなんだ」
「だからごめん、咲玖も俺がいない間は実家帰ってていいから」
「わかった、そうしようかな」
「ほんとにごめん」
「仕方ないよ!気にしないで」
なーんて、蒼永の前では強がった私ですが。
本音はめちゃくちゃ寂しい!!
仕方ないってわかってるよ!
九竜家の跡取りが色々大変なんだってこと、一応わかってはいるつもり。
ほんとはね、私みたいな一般人とは住む世界が違う人なんだ…。
でも我慢しなきゃ。蒼永だって大変なんだもん。
落ち込んでる場合なんかじゃない!
そう意気込んだものの、蒼永の用事は思ったより長引いてしまい、体育祭シーズンに差し掛かったこともあり、生徒会として手伝いのある私も忙しくなっちゃって…。
結局ほとんど蒼永と会えない日が続いてる。
ただでさえ学校では普通科とS組で全然会えないのに…。
つらい、つらすぎる…!!
今思うと、よく5年も離れてて平気だったな!?
今1週間でも我慢できないんだけど…。
「大丈夫?さっちゃん…」
「大丈夫…」