クールな許嫁の甘い独り占め。
会いたいなぁ……。
寂しさを募らせながら蒼永のことを見つめていた、その時。
「――えっ、九竜くんこっち見た!?」
「笑いかけてくれた!?」
突然のファンサービス(?)に女子たちが大騒ぎ。
でも私の心臓はもっと大騒ぎ。
だって今の…多分私だ。
気づいてくれたんだ――…
「(蒼永、大好き)」
泣きそうになりながら、心の中で呟いた。
エンゲージリングを胸元から取り出し、ぎゅっと握りしめる。
早く直接言わせてね――。
* * *
迎えた体育祭当日!
結局今日まで蒼永とは会えてないけど、全然気にしてない!
今日はどこかで会えるかもしれないし…!
「でも、ついてないわよねぇ。1-Sは紅組に振り分けられたせいで、敵チームだし」
「うっ」
そうなんです…私たちのクラスは白組でS組は紅組…まさかの敵チームになってしまったの……。
だから大々的に蒼永の応援がしにくいんだよね〜!え〜〜ん!!
「まあまあ、こっそり応援するくらいはね」
「大志くん…!」
「場合によっちゃ私は応援しないわ。あの男のバケモノさは小学生の時からわかってるし…」
「蒼永くん、体育祭ではいつもヒーローだったよね」
あれは小学4年生の時の紅白対抗リレー、当然のように選手に選ばれた蒼永は、最下位でバトンを受け取りごぼう抜きで1位に浮上。
そのまま優勝に大貢献したというヒーロー伝説がある。