クールな許嫁の甘い独り占め。


「今の人たちは?」
「知らない。なんか朝からやたらと話しかけられるんだよね…」


多分リストバンドをもらいたいのかなぁ…。


「ところで咲玖、今時間ある?」
「えっあるよ」
「じゃあ、ちょっとサボらない?」
「! うんっ!」


急に引っ張られてそれどころじゃなかったけど…、やっと蒼永に会えた――…!!
やばい、ちょっと泣きそうかも…。

私は近くの空き教室に入った。
入った瞬間、蒼永に抱きしめられる。


「会いたかった…」
「私も…」
「もうマジで咲玖不足。会えなかった分、充電させて?」
「っ!」


頬に手を添えられ、キスされる。
唇が離れてはまた重なり、キスの雨に溺れそうになる。

学校でキスしちゃった――…


「…咲玖、そんな顔誰にも見せないでね」
「へ?」
「すごくとろけた顔してる」
「と、とろけた?」


再びぎゅっと抱きしめられ、胸の中に閉じ込められた。


「…よくわかんないけど、そんな風になるのは蒼永だけだよ?」
「…あんまり煽らないで」
「???」


蒼永が言ってることの意味はよくわからなかったけど、幸せな気持ちには変わりない。
…あっ、そうだ!


「ねぇ蒼永!ブレスレットとリストバンド交換しよ!」
「え、いいけどなんで?」
「カップルで交換するの流行ってるんだって!」
「ああ、なるほど。それでやたらとリストバンドがどうとかって言われたのか…」


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