クールな許嫁の甘い独り占め。
あ、かわいい。めっちゃ抱きしめたい。
「あんたら、人前でイチャつくのやめれる?」
「イチャついてないよ!」
「空気がイチャついてんのよ」
「空気が!?」
流石にこの二人の前ではしないけど、色々察されてるな。
「まあまあ、これで色々落ち着くといいね」
「そうね、そうなるといいわね」
「蒼永くん、この後出番は?」
「まだリレーがある」
「やっぱリレー出るのね!絶対負けないわよ!!」
「春日井も出るの?」
「当然。あんたのせいでリードされてるけど、最後は白組が勝つわ」
いや、別に俺のせいではないと思うけど。
まあとにかくやたら敵視する春日井と、そんな彼女を宥める大志は先に戻った。
俺も出番があるし、そろそろ戻らないといけないんだけど。
「…蒼永、行かないの?」
離れがたくて手が離せない。
「行かなきゃだめ?」
「ダメでしょ!みんな待ってるよ」
はー、行きたくないけど咲玖を困らせたくもないからな。渋々手を離した。
「あのっ、蒼永」
「ん?」
「桃ちゃんに内緒で、こっそり蒼永のこと応援してるねっ」
耳元でそう囁くと、ちょっと恥ずかしそうに笑ってから行ってしまった。
「え、かわいすぎる…」
ダメだもう負ける気がしない。
春日井には悪いけど、勝たせてもらおう。