クールな許嫁の甘い独り占め。



あ、かわいい。めっちゃ抱きしめたい。


「あんたら、人前でイチャつくのやめれる?」
「イチャついてないよ!」
「空気がイチャついてんのよ」
「空気が!?」


流石にこの二人の前ではしないけど、色々察されてるな。


「まあまあ、これで色々落ち着くといいね」
「そうね、そうなるといいわね」
「蒼永くん、この後出番は?」
「まだリレーがある」
「やっぱリレー出るのね!絶対負けないわよ!!」
「春日井も出るの?」
「当然。あんたのせいでリードされてるけど、最後は白組が勝つわ」


いや、別に俺のせいではないと思うけど。
まあとにかくやたら敵視する春日井と、そんな彼女を宥める大志は先に戻った。

俺も出番があるし、そろそろ戻らないといけないんだけど。


「…蒼永、行かないの?」


離れがたくて手が離せない。


「行かなきゃだめ?」
「ダメでしょ!みんな待ってるよ」


はー、行きたくないけど咲玖を困らせたくもないからな。渋々手を離した。


「あのっ、蒼永」
「ん?」
「桃ちゃんに内緒で、こっそり蒼永のこと応援してるねっ」


耳元でそう囁くと、ちょっと恥ずかしそうに笑ってから行ってしまった。


「え、かわいすぎる…」


ダメだもう負ける気がしない。
春日井には悪いけど、勝たせてもらおう。


< 89 / 197 >

この作品をシェア

pagetop