クールな許嫁の甘い独り占め。
紅白対抗リレーは体育祭の最終種目で一番の花形であり、選抜されるのも学年内の俊足ばかり。
その中で何故か俺はトップバッターで走ることになっていた。1年〜3年の順で走るから1年が先になるのはわかるけど、なんで俺が…。
「九竜!手抜くんじゃないわよ!手加減されるのもムカつくから!」
「はあ…」
春日井はめっちゃ噛み付いてくるけど、そもそも男女で走るの別だから春日井と戦うわけじゃないんだけどな…。
女子のレースがスタートした。息巻いてただけあって春日井は速い。
順調にバトンを繋いでいく。
その時ふと、観客席で咲玖の姿が目に入った。ぴょんぴょん飛び跳ねて春日井のことを応援している。
その隣にいたのは、控えめに応援する父さんだった。
えっ、なんで…?
なんで父さんと咲玖が一緒に…?
「男子の選手の皆さん!準備をお願いします!」
アナウンスが流れ、仕方なくそっちに行かなきゃいけなくなったけど、なんでそうなったんだ?
母さんは一緒じゃないみたいだし、よくわからない…。
白組と紅組で2チームずつ、合計4チームで競うが女子は白組、紅組、白組、紅組の順でゴールインした。
見事に春日井のいたチームは優勝している。
これで点数差は五分五分ってところか。
「さあ泣いても笑ってもこれが最後!紅白対抗リレー男子の部が始まります!」
…まあ、一旦気にせずレースに集中するか。