心霊現象 研究同好会


「そこまでハッキリ言い切られちゃう諏訪ちゃん、可哀想に……」

「……智樹さん、ぶん殴りますよ?」

「アハハ、ごめんごめん。 えーっと、周りに人は居ない、と。 じゃあ言ってもいいかな」



倉本くんや他のメンバーに向けて手招きし、全員をすぐ近くへと呼び寄せる。

そのあと智樹さんは、極力小さな声で話し始めた。



「メシの時の俺の言動で既にみんな勘づいてるだろうけど、俺には幽霊が見えてるよ。 で、あの時リーダーくんには女の幽霊が憑いていた。 今は引き剥がしたから大丈夫だけど、あの女はプレイホールを根城にしてる。 つまりは今からレクリエーションを行う場所に居る、ってことだ」



淡々と。

一人ずつと目を合わせていきながら、智樹さんは言う。



「で、ここからが重要だから、しっかり聞いといて。 この班のメンバーは、どうやらあの女と波長が合いやすい感じなんだ。 さっきはリーダーくんだったけど、次に取り憑かれるのは別の奴。 って可能性もある。 俺も一緒にプレイホールに行くから多分大丈夫だとは思うけど、もしもヤバいって思った時は火災報知器を押して、避難誘導を買って出る。 そうなったら先生の指示よりも俺に従って動いて、ソッコー逃げてくれ」




まるで、元よりそうするシナリオがあったかのような……。

咄嗟の思いつきでは言えないようなことをスラスラと言ったあと、智樹さんは隣に居る倉本くんの背中をポンと叩いた。



「つーことで、もしもの時は既に真っ青な顔してるそこの男子の世話は任せるぜ?」



……心霊系の話が苦手な如月くんが、顔を真っ青にしながらカタカタと震えている。

その如月くんの肩を支える倉本くんは、私を少しだけ見たあと……智樹さんに視線を戻し、深く頷いた。



「……何も起きないことを祈っときます」



と、小さく言いながら。

智樹さんはニッと笑ったあと、穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんへと視線を向けた。



「君らも十分気をつけて。 もちろん、諏訪ちゃんもな? 見える範囲でなら対処のしようもあるけど、さすがの俺でも女子トイレの中は行けないし。 隙を見せるとあっという間に寄られるから、ほんっとうに気をつけて」


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