心霊現象 研究同好会
さっきまでの淡々としたものではなく、今は優しい声だ。
その声を受けた穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんは、緊張した顔だけど……それでもしっかりと頷いた。
そして私も、ゆっくり深く頷いた。
「じゃあ最後に、リーダーくん。 君は優しすぎるくらいに優しいから、一番憑かれやすいってことを理解しとけよ? 自らの意思で留まってるクソ幽霊に同情することねぇんだよ。 んな感情は捨てちまえ」
「あー……はい、善処します」
「まったくもう。 そんなんじゃ命がいくつあっても足りねぇからな? よし、じゃあ話は終わりっ。 さすがにそろそろ時間がヤバいから行こう」
ポン、ポン、ポン……と一人ずつの肩を叩いたあと、最後に私の肩もポンと叩き……ふっと優しく笑う。
……智樹さんは、私の体質のことは言わないでいてくれた。
こういう状況だし、私のことももう言うしかないかな…って思ってたのに。
私と倉本くんのことを茶化してきた時は本気で頭を抱えてしまったけど、でも……ちゃんと察していてくれたんだ。
「……智樹さん、色々ありがとうございます」
「それは全員無事に合宿を終えた時に言ってくれ」
「はい」
智樹さんは、見た目や言葉遣いはちょっと怖いけど……だけど良い人だ。
彼と接していると心地良いと感じるから、きっと智樹さんも魂の色が似てるんだろうな。
まだ出会ったばかりだけど、彼も私の…ううん、私たちの班のメンバー全員の大切な人だ。
だから、あまり無理はしないでほしい。
私たちを守ろうとしてくれるのはありがたいけれど……自分のことも、ちゃんと守ってほしい。
「あんまり無茶はしないでくださいね」
「うん、全て俺に任せとけ」
「って、無茶する気満々じゃないですか……。 危ないって思ったら、智樹さんこそ逃げてくださいよ?」
「わかったわかった、心配すんな」
……心配しかない。
だけどそれでも智樹さんが笑っているから……私も笑う。
不安は消えない。
消えないけれど、進んでいくしかない…よね。
いよいよ、プレイホールでのレクリエーションが始まる。
今はただ何事も起きないことを祈り、智樹さんを信じて行くだけだ。