心霊現象 研究同好会

├2



【 諏訪 芽衣子side 】


………

……




オリエンテーション合宿、一日目の午後。

私たちは今、プレイホール…学校の体育館に似た場所に居る。

これから約二時間ほど、ここでレクリエーションが行われる予定だ。


レクリエーションと聞くと、みんなでワイワイ楽しくゲームをするというのをイメージするけど……今からするのはそんなに楽しいものではない。

だってこれから行われるのは、クラス対抗のドッジボールだから。

力と力のぶつかり合い。

本気の戦いが待っている。のだけれど……、



「じゃあ如月くんは見学っつーことで、俺が見てますんでー」



……誰が見ても顔色が悪いと気づくほど真っ青になってる如月くんは、ドッジボールに参加するのは絶望的だ。

先生には「ここよりも部屋に行って休んだ方が」と言われたけど、みんなと離れるのを拒んだ如月くんの強い希望により、この場所に留まることとなった。

そしてその如月くんのそばで様子を見る役目となったのが、運営の手伝いをしに来た智樹さん。

……その智樹さんのそばに女性の幽霊が居ることは、如月くんには絶対に黙っていよう。


とにかく。

そんなこんなでクラス対抗ドッジボールが始まった。


──試合は総当たり戦で、二試合同時に行われる。

全部で五クラスだから、最初は私たちのクラスが見学となった。


私と穂乃果ちゃんと沙綾ちゃんはクラスメートから少し離れた隅のところに居て、倉本くんと龍泉寺くんは、今は如月くんのそばに居る。

男子たちは一緒に居る智樹さんと何か話しているけれど……さすがに私たちのところまで会話は聞こえてこない。

でも如月くんを除くメンバーはみんな穏やかで時々笑顔も見えてるから、ただ単に雑談をしているのかもしれない。


というのを遠目に見ていた時、沙綾ちゃんが声をかけてきた。



「ねぇ、芽衣子に聞きたいことがあるんだけどさ」

「ん?」

「芽衣子って幽霊が見えてるよね?」


「……えっ!?」

「ちょ、静かに静かにっ。 周りにバレたら困るじゃんっ」


< 117 / 283 >

この作品をシェア

pagetop