心霊現象 研究同好会
「ちょっと神代くんっ、私だって否定しないからねっ? めいちゃん、私も否定しないよっ。 大丈夫だからねっ」
「あー、じゃあ「俺と樫村先輩を除く全員が否定しても」ということで」
「それでよしっ。 ていうか普通に考えて桜井も否定しないでしょー。 むしろノリノリになるはず……って、なんで桜井が泣いてるのっ……!?」
え? と思って桜井先輩に視線を向けると、何故か泣いている。
ただ静かに、両目から溢れた涙が頬を伝っていた。
どうして桜井先輩が……。
と思った次の瞬間に、桜井先輩はゆっくりと両手を組んで天井を見上げた。
「神様、ありがとうございます。 見える子と出会わせてくれてマジでありがとうございます……!!」
「「「 ………… 」」」
「……あ、神代っ。 今お前の近くに幽霊さんが居るんだよなっ? うわぁーまさか うちの同好会に来てくれるなんてっ。 大大大歓迎っ。 幽霊さんどうぞゆっくりしていってくださいっ。 その代わりに写真に姿を現してくださいませーっ」
……ゴシゴシと涙を拭った桜井先輩は、かなり興奮した様子で喋ってる。
目はギンギンで、頬は紅潮し、ニヤリと笑いながらハァハァしてるのは……結構…いや、かなり怖い。
「……えっとね、めいちゃん。 桜井は常にこんな風に馬鹿でアホだけど、でもその分 本音で話すことは出来るから。 変な奴だけど良い奴だからさ、仲良くしてもらえれば…って思うんだけど……なんかごめんね……」
と、梨乃先輩が困ったように笑う。
そして神代先輩は、
「……ハァ……」
と深く深くため息をついたあと、チラリと幽霊の方を見た。
……スーツ姿の幽霊は、相変わらず神代先輩を凝視してる。 けど……一瞬だけ、本当に一瞬だけチラッと桜井先輩の方に視線を向けたあと、超絶 嫌そうな顔をしてから姿を消した。
幽霊が怒りや悲しみの感情を訴えてくることはたまにあるけど、嫌そうな顔をして姿を消すっていうのは初めて見たかも……。