心霊現象 研究同好会


「高校では気の合う仲間に会えてよかったな」



その手の主は智樹さんだ。

私と目が合うと、さっきまでと変わらない笑顔を見せた。



「小中学校っつーのは同じ地域の奴らが「同じ地域だから」ってだけの理由で集められてるから、合わない時はトコトン合わないんだよなぁ。 地元密着型の高校も、似たような奴が集まるから自ずと思考も同じ系統になる。 アイツらは自分と違う意見を持った奴が怖いんだよ。 怖いから集団になって排除しようとしてくるんだ。 こっちは別に何もしてないのにさ」



……笑顔だけど、その言葉はどこか刺々しい。

でもきっと……智樹さんも過去では色々なことがあったんだろうな。

その経験があったからこその今の言葉なんだと思う。



「……ゴホン。 まぁとにかく、アホな奴らのところから抜け出せてよかったって思っとけ。 それと、この学校の生徒は結構色々な地域から集まってるみたいだし、他者を貶めようとするアホも少ない感じがする。 良い学校に来られてよかったじゃん」

「……ふふっ、そうですね。 私もそう思います」



同じ班のメンバーだけじゃなくて。

同好会の先輩たちもみんな良い人だ。

まだ入学してからそんなに経っていないのに、もうたくさんの良い縁が繋がっている。

それが、とにかく嬉しい。



「井の中の(かわず)…とは よく言ったもんだね」



ポツリと龍泉寺くんが言う。

その彼の瞳が、真っ直ぐに私を捉えている。



「俺はそういう蛙になるつもりはないし、他のみんなもそう。 と言っても、まだそこまで親しくなってないから「信用出来ない」と不安になることもあるかと思うけど……それでも俺は話してくれた諏訪さんのことを信用するし、信頼もする。 合宿の時だけの仲間じゃなく、この先もちゃんと仲間として過ごしていきたいって思うよ」

「龍泉寺くん……ありがとう」



真っ直ぐな言葉が聞けて、凄く嬉しくなる。

私もそう。

ちゃんと仲間として過ごしていきたい。 って、そう思ってる。


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