心霊現象 研究同好会


……そっか。

智樹さんと桜井先輩は長い付き合いだけど、自分の力のことは言ってなかったんだ……。



「……あれ……でもさっき、桜井先輩は智樹さんの体質のことを知ってる風な感じで話してたような……」



私が危険なことをしようとしてた。と知ってるのは、智樹さんだけ。

その智樹さんに「聞いた」…って言ってたような気がする。



「あーそれは倉本くん経由で知ったんだと思うよ。 ドッジボールの試合前、みんなが離れたあとに倉本くんが俺に声をかけてきたんだ。 「俺は心霊現象 研究同好会っていうのに所属してるのですが、そこの先輩たちに智樹さんの力のこと話してもいいですか?」ってな」



……あ。

あの時だ。

みんなが智樹さんのそばを離れたあと、ただ一人残っていた倉本くんは真剣な顔で何かを話しかけていて……。

対する智樹さんは終始笑顔で、最後は頷いて応えていた。


倉本くんに何を話してたのか聞こうと思ってたけど、聞けるタイミングがなくて……私自身ももう忘れかけていた話。

それがコレだったんだ。


……桜井先輩は倉本くんからのメッセージを受け取って、初めて智樹さんの力のことを知った。

ずっと知らなかったのなら、きっと凄く驚いたと思う。

だから慌てて電話をかけて、本人から直接 話を聞いて……。

……そしてその智樹さんの口から、私が無茶しようとしてたことを聞いたんだ。


全部が、繋がった。



「食堂でのこと……私が無茶しようとしたことを、桜井先輩に伝えたんですね」

「うん。 俺は同好会の会員ではなかったけど、それでもずっと近いところには居たから。 直属であるアイツには知る権利があると思ってね。 勝手をしてごめん。 うっすら聞こえてたけど、だいぶ怒られた…よな?」

「……かなり怒られました。 でも自業自得のことなので、先輩に怒られるのは当然です。 だから大丈夫です」


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