心霊現象 研究同好会
「予定よりも夕食が早く済んだから、このあとの散策は一班ずつ回ることに決まったぞー。 各班のリーダーは一旦集合してくれー」
……内容はやっぱり、夜の散策の話だ。
先生の声に従い、集められた班のリーダーたちが昼間に抽選した通りの順番に並ぶ。
そして……、
「出発順は昼に決めた通りで、二班のうち どっちが先に行くかはジャンケンで決めるからなーっ」
……一緒に回る予定だった別の班のリーダーとの、一騎打ちジャンケンが突如として始まった。
先生の言葉を聞いた生徒たちはみんな大騒ぎで、自分の班のリーダーに熱視線を送っている。
まぁ、私たちの班はほぼほぼ諦めの状態だけどね。
ジャンケンに勝っても負けても大差はない。
元々最後なんだから、回る順番が一つ上になったところで大きな変化はないとみんなわかっているから。
だから相手チームも、なんとなく冷めた感じで行方を見つめている。
大盛り上がりなのは、最初の方に出発する班の人たちだけだ。
「透は多分、負けるんだろうなぁ」
と苦笑気味に笑う如月くんの言葉の通り……龍泉寺くんはジャンケンに負け、うちの班は最終組での出発が決定した。
「ごめん、負けました」
そう言いながら戻ってきた龍泉寺くんも、そこまで悲観した様子ではない。
私たちと同じで「そんなに変わりはない」と思ってるみたい。
「まぁ、元々最後に回ることは決まってたしね。 逆に、後ろから変に急かされるような状況じゃなくてよかったんじゃない?」
そう言って笑う倉本くんと同じように、沙綾ちゃんが笑う。
「後ろに別の班が居ると、早く進まなきゃーって結構気になっちゃうもんね。 でも、誰も居ない後ろから足音が聞こえてきたらマジでヤバいけど」
「あー、そういや うちの同好会の先輩、肝試し中に耳元で声を聞いたって言ってたなぁ。 遊歩道のところには池もあるから、結構集まりやすいらしいってことも聞いたよ」
「うわぁ、そうなんだ。 でも確かに、水辺には集まりやすいみたいな話ってよく聞くよねぇ……」