心霊現象 研究同好会


徒歩一分って……本当にご近所さんだ……。



「実は俺も諏訪さんと似たような感じで、今は叔父さんの家にお世話になってるんだ。 と言っても、その叔父さんは会社近くのアパートで寝泊まりすることが多いから、ほぼほぼ一人暮らしって感じだけどね」

「……あ、もしかしてその叔父さんって、守口(もりぐち) 海斗(かいと)さん……?」

「うん、守口 海斗は俺の叔父さんだよ。 そのへんは何か聞いてた?」


「えーっと……先輩の名前は知らなかったですが、お家の事情は、おばあちゃんから結構…色々と……」

「そっか。 まぁ、恵美子さんなら言ってるよね」

「……すみません」



と頭を下げる私に、先輩は「大丈夫だよ」と微笑む。

……私は、神代 郁也さんのことは今日初めて知ったけど、おばあちゃんから「海斗くん」と「海斗くんの甥っ子」のことは教えてもらっていた。


神代先輩の叔父さん…通称「海斗くん」は、三十代前半の独身男性で、十歳上のお姉さんが居る。

そのお姉さんはうちのお母さんと同級生で、家も近かったから かなり仲良くしていたらしい。

そのお姉さんの子供が、「海斗くんの甥っ子」…神代先輩だ。

まぁ、お母さんからは全然、神代先輩のお母さんの話は聞いてないけど……。


おばあちゃん曰く、海斗さんのお母さん……つまり神代先輩の祖母にあたる人は、十年ほど前に交通事故に巻き込まれて亡くなったらしい。

そして五年前には、お父さん……神代先輩の祖父も病死した。

守口さんの家はそのまま海斗さんが引き継いだけど、仕事の都合でなかなか帰れず……結局はほぼアパート暮らしで、月に一、二度、お姉さんが……神代先輩のお母さんが掃除をしに帰っているらしい。

そのお家に、去年「海斗くんの甥っ子」が引っ越してきたと聞いた。

おばあちゃんに「甥っ子くんは同じ学校の一個先輩だよ」とは聞いていたけど、まさかそれが神代先輩だったとは……。


< 16 / 283 >

この作品をシェア

pagetop