心霊現象 研究同好会
「……手を繋ぐかどうかは、その場所の様子を見てから…ということで」
とりあえず、そう言っておこう。
ごくごく普通に歩けそうな雰囲気なら、手を繋がなくても大丈夫。
でも、もしも色々なモノがいっぱい居るようだったら……その時は私自身も怖いから、手を繋いで歩きたいと思うかもしれない。
たとえその相手が、超怖がりの如月くんだとしても。
「オッケーオッケー、全然大丈夫そうな雰囲気でも繋ぐからよろしくー」
……という言葉が返ってきたから、多分…当たり前みたいに手を繋いで歩くんだろうなぁ。
そして なんだかんだで、私が如月くんを引っ張って歩きそうだ。
と思いながら、苦笑いで応えた。
……そんなこんなで。
夕食後の片付けも速やかに終え、いよいよ「夜の散策」のスタートだ。
スタート地点は屋外炊事場のすぐそばで、班ごとに約一分間隔で出発していく。
遊歩道は、レンガ造りの壁で囲われている施設の外周に近いところを通っているから……かなり長い距離歩かなきゃいけないんだよね。
去年 一昨年と経験済みの先輩たち曰く、「ゴールまでは超早歩きで十分から十五分」らしい。
そしてその遊歩道はプレイホールの横へと続いているから、すなわち そこがゴール地点。
……歩いてる時よりも、ゴールしたあとの方が少し怖いな。
きっとあの女性はまた、プレイホールのところに居るだろうから……。
班のみんなもそれがわかっているので、他の班の人たちには聞こえないように「ゴールしたあと気をつけよう」と密かに伝え合った。
そうやってるうちに、一番最初の班がスタートした。
そしてその一分後に二番目の班がスタートする。
さらにまた一分後に三番目の班……と進んでいくけれど、最後に出発する私たちはまだ地べたに座ったままだ。