心霊現象 研究同好会


全部で三十班だから、順調に進んでも私たちが出発するのは約三十分後。

だから、ただぼんやりと座っているだけの時間が続いている。

この時間もスマホが使えたらよかったのにな……と思いながら、小さく息を吐く。


……桜井先輩は、その後どうしてるだろう?

電話で話した時間って、まだ授業中だったはず……。

でも授業中にあんな風に話すなんて普通は出来ないから、もしかしたら早退したのかな?


私と倉本くんが居なくても同好会の活動はいつも通りにやるっていうことは事前に聞いてたけど、もしも早退したのなら……活動は休止になった?

それとも、授業だけサボって同好会には顔を出してる?


……どっちだろう。

先輩の動向が気になるけれど、今はまだ…連絡手段は何もない。

夜の散策を終えた班から入浴になって、それが終わったあとようやく自由時間。


と言っても、スマホが使えるのは消灯までの僅かな時間のみ。

肝試しに出発するのが最初の方だったら自由時間も多少伸びるけど、これはもう決まったことだから…いつまでも嘆いていても仕方がない。

短い時間で何が出来るかを、今のうちに考えておこう。


まずはメッセージのチェックをして、桜井先輩から連絡が来てたら……ちゃんと返す。

もしも連絡が来てなかったとしても、それでもメッセージを送る。

どちらの場合でも、しっかりと昼間のことを謝りたい。

昼間の出来事の詳細を…ちゃんと自分の思いを伝えよう。


とは思うけど、実際に出来るかどうかは……まだわからない。

正直言うと、アプリを開くことが怖い。

なんならずっと電源をオフにしたまま過ごしたい。 なんて思ってるくらいだ。


……もう、私と先輩との距離は変わってしまった。

今までみたいに普通にやり取りしていくのは…難しいと思う。

だから怖い。

怖くて怖くてたまらないんだ。


< 162 / 283 >

この作品をシェア

pagetop