心霊現象 研究同好会


と言っても、心臓はバクバクしてるけどね。

だけど冷静だ。

自分でも信じられないくらいに、落ち着いて周りを見ることが出来ている。


だからこそ気づいた。

如月くんたちのそばに居る、ぼんやりとした影に……──。


少し距離が遠いのに、そこに居るのが「女の人だ」ということはハッキリとわかる。

あの人は……プレイホールに居た女性……?



「……」



ジッと見るのはよくない。 とわかっているのに、目が離せない。

目が合ったらきっとマズイことになるのに、それでも視線を逸らすことが出来ない。


女性は、しゃがみ込んでいる如月くんたちのそばに立っていて……そしてそのまま、池の中へとスーッと移動していった。

真っ黒い池と同化して……消えた。

……どうして池に?

プレイホールに棲みついてるわけじゃ、ない……?

いや、でも……もしかして……──。



「……芽衣子、どうしたの?大丈夫?」

「──……えっ? あ、うんっ。 大丈夫だよっ」



顔を覗き込んできた沙綾ちゃんに、慌てて返事をした。

……けど、「何かあった」というのはバレてしまってるみたいで……ジトーっとした目を向けられている。

横に居る穂乃果ちゃんもまた、同じような顔だ。



「……めいちゃん、さすがに気づくよ。 “何か”が居た…んだよね?」

「……ですよね。 うん、ごめん。 実はね、プレイホールで見た女の人が如月くんたちのそばに居たんだけど……スーッと池の中に入っていったの」

「え、そうなの? じゃあこれって、その女の人が起こした事件……?」


「確証は、ないけどね」



でもきっと、十中八九 関係がある。

そして彼女が入っていった池に……“何か”がある。 そんな気がしてならない。


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