心霊現象 研究同好会
クボセン…というのは、この場に来てくれた先生の中で一番体格がいい久保先生のことだ。
柔道部の顧問で、自身もインターハイで上位に食い込んだことがあるという実力者。 ということを先生紹介の時に聞いた。
突然の「クボセン」呼びと、いたずらっ子のような笑顔を見せる智樹さん。
そして眉間にシワを寄せる久保先生の表情から察するに……どうやら二人は、知り合いらしい。
それはそうか。
智樹さんはこの学校のOBだし、久保先生はずいぶん長くこの学校で教鞭を取ってるらしいことも言っていた。
日中二人で話してる時は「学校の先生と施設のスタッフ」という感じだったけれど、今はどう見ても「先生と生徒」だ。
「……ハァ。 オーケー、コイツがアホなことをしないように見張っておきますんでこっちは任せてください」
「ちょっと先生、元生徒にそれはないんじゃない? 俺、ちゃんと真面目に仕事してるじゃん?」
「面の皮が厚いお前は根本的に信用ならん」
「ヒデェ」
「 と に か く 、こっちは大丈夫です。 なるべく早く戻りますんで、生徒たちを頼みます」
ペコリと頭を下げた久保先生は、智樹さんの後頭部に手をやって彼の頭も無理矢理に下げさせた。
先生と生徒。というよりも、悪さをした子供と謝罪に訪れた父親みたい。
なんてことを考えたら自然と頬が緩んだけれど、場所が場所だからすぐに顔を引き締める。
みんなと一緒に居れば大丈夫だと思うけど、まだ“何か”が起きるかもしれない。
施設に戻るまでは気を緩めずに行こう。 と密かに決意し、誘導する先生たちと一緒にその場をあとにした。
──そのあとはもう、バタバタだった。
お風呂は手早く簡潔に。 で、そのあとは「目撃者」として先生たちから事情聴取を受けた。
それが終わって部屋に戻ったあとも、今度は同じ部屋の子たちからの質問攻め……。
もう今回のことはすっかり知れ渡っているみたいで、ああだこうだと様々な憶測が繰り広げられ、リアル「奇妙な物語」にみんな興奮が収まらない。