心霊現象 研究同好会


「……先輩……」



ポツリと言葉が漏れたその時、


ブー ブー ブー


と、スマホが手の中で震え出した。

それは、電話の着信を知らせるバイブレーション。

慌てて見た画面に表示されていたのは、今の今まで頭に思い浮かべていた人物……桜井先輩の名前だった。




「もっ……もしもしっ……」

『おはよ』

「お、おはっ…おはよう……ございます……」


条件反射で電話に出てしまったけれど、みんなはまだ寝てるんだった。 と思い出して声を潜める。

多分誰も起こしてない……よね……?



『こんな時間にごめんね。 メッセの既読がついたから、もう起きてるのかなーって思って。 あー……でもさすがに電話はまずい?』

「えと……移動するので、少し待ってください」

『うん』



ベッドからそっと抜け出して、廊下に出る。

とりあえずはトイレでいいかな?

大きな声を出さなければ、誰かを起こしちゃうこともないはず…だと信じよう。



「すみませんお待たせしました。 あの…一応トイレに移動したんですが、誰かを起こしちゃうとまずいので小声のままにしますね。 ちゃんと、聞こえてますか……?」

『大丈夫、聞こえてるよ。 俺もわりと小声で話してるけど、聞こえてる?』

「はい、凄くクリアに聞こえてるので大丈夫です」


『よかった。 倉本からの連絡で知ったけど、昨日は大変だったみたいだね』

「はい……凄くビックリしました。 あの……昨日のって、幽れ……」

『あぁそれは言わなくて大丈夫。 夜に智樹先輩と電話して詳しく聞いたからもう知ってるよ。 ていうか、俺の方が色々聞いて知っちゃってると思う。 まぁ大勢の警察官が来てるのを見て察しがついてると思うけど、池から一部が白骨化した遺体が見つかったんだ。 先輩曰く「プレイホールに居る女性で間違いない」ってさ』



……先輩の言う通り、察しはついていた。

池にスーッと移動していく女性の幽霊を見た時から、そんな気がしてたんだ。

だから大勢の警察官が来たのを見た時に、実は密かに「やっぱり」って思ってた。

誰にも何も言えなかったけどね……。


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