心霊現象 研究同好会


『普通、水死体は何日か経つと浮かんでくるんだけど、今回の遺体には藻が複雑に絡み合ってたらしくて、その影響でずっと沈んでた。 だから発見が遅れて、池を調べた智樹先輩のおかげでようやく……って、朝から話すことじゃないか。 いや、何時だろうと聞きたくない話だよな。 ごめん』

「いえ、大丈夫です。 でも……池で亡くなったのに、どうしてプレイホールのところに居たんだろう……」

『んー……それは幽霊さんにしかわからないことだから なんとも言えないね。 あぁでも、身元はすぐ特定出来そうなんだって。 遺体と一緒にバッグも沈んでて、そこに身分証が入ってたみたい。 で、実はその施設の元スタッフらしいんだ』


「え、そうなんですか?」

『うん。 と言っても合宿中の生徒の面倒を見るとかそういう仕事じゃなくて、清掃が主な仕事だったようだよ。 施設内だけじゃなくて、遊歩道の掃除とかも。 先輩がオーナーに聞いた話によると「去年の夏までは恋人と仲睦まじく働いてた」ってさ』



恋人と、夏まで。

ということは、亡くなったのはそれ以降ってことか……。



「……その恋人さんは、今もここでお仕事を?」

『いや、彼女よりも十日早く退職したらしいよ。 んでここからが胸糞なんだけど、彼女が辞表を出したその日、彼氏サンは別の女性と幸せそうに笑ってる写真をSNSにアップしたんだとさ。 「僕たち結婚します」っていう書き込みと共に、「彼女のお腹には新しい命が宿ってます」ってことも書いて。 で、今はその女性の実家を継いで、今は県外で幸せな家庭を築いてるみたいだよ』

「え……」



……何それ、最っ低。

クズ男じゃんっ……。


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