心霊現象 研究同好会
『オーナーや他のスタッフさんは彼女を凄く心配して辞めるのを引き止めたけど、結局そのまま退職したって。 オーナーが最後に彼女と会ったのは、十一月の終り頃らしいよ。 「あの時は突然辞めてしまってすみませんでした。 皆さんと働けた時間はとても楽しくて幸せでした。 ありがとうございました」って菓子折りを持って挨拶に来たみたい』
「……それが、最期の挨拶…になってしまったんですね」
『うん。 いつ頃に亡くなったかはまだわからないけど、最期の挨拶をしに来たのは間違いないと思う。 現場の状態から見て、自殺っぽいしね』
……恋人と仲睦まじく仕事をしていた場所で、最期を迎えたんだ。
菓子折を持ってきたのは「迷惑をかけてしまうことを許してください」って意味もあったのかな。
ううん、これは全部憶測に過ぎない。
亡くなってしまった人の思いを、私が決めていいわけがない。
だから……今はただ、あの女性が安らかに眠れる日が来ることを祈ろう。
きっと、それでいい。
『あー……なんかごめん。 こんな話をするために電話したわけじゃないのに、つい色々と語ってしまって……』
「あっ……いえ、こちらこそ……すみません……」
『……』
「……」
どうしよう。
無言になっちゃった……。
『……諏訪ちゃん。 昨日のことだけどさ』
「は、はいっ……」
『メッセにも書いたけど、酷い態度を取ってごめん。 あの時は智樹先輩の力のことを初めて知った直後でさ……ビックリして、パニックになって、頭の中がグチャグチャで……。 そんな時に、俺の知らないところで諏訪ちゃんが危険なことをしようとしてたって聞いたら、こう……感情が…爆発しちゃって……』
「……いえ、私が悪いんです。 あの時は「見える私がどうにかしなきゃ」って思いに囚われていて……。 私はただただ、友達を守りたかったんです。 でも、自分のことを自分で守れないくせに、他人を守ろうとするなんて…烏滸がましいことですよね……」