心霊現象 研究同好会
廊下にはまだ誰も居なかったし、どの部屋からも声は聞こえてこない。
外は段々明るくなってきたけど、それでもまだ起床には早いから、まだみんな寝てるみたい。
だから私は、最初と同じようにそーっと部屋へと戻り、静かにベッドの中へと潜り込んだ。
「……ハァ……」
そこでもう一度息を吐き出して、今後のことを考える。
臨時休校になったのなら、合宿二日目は中止になるんだろうな。
まだまだ色々な予定があったけど、こればっかりは仕方ない。
むしろ、一泊出来ただけでも良い方だったかも。
休校は、今日だけで終わるかな?
それとも、来週も続く?
ううん、それよりももっと長くなる……?
きっと遺体が見つかったという話はニュースになる。
地方局だけで取り上げられるのか、それとも全国ニュースになるのか……わからないけれど、あまり大ごとにならないといいな……。
新しい学校に来て、穏やかに過ごせると思ったのに…こんなことになるなんて……。
あぁでも、【心霊現象 研究同好会】に入った時点で「穏やか」とは違うかも?
むしろ毎日騒がしいくらいだもんなぁ……。
だけど、昔よりは断然こっちがいい。
みんなと過ごす時間は凄く楽しくて、騒がしい毎日が心地良い。
そう思えるくらいに、今が好きだ。
そんな「いつもの毎日」に早く戻れるといいな……。
と思った時、二段ベッドの上段から、穂乃果ちゃんがハシゴを使って下りてきた。
「わっ…めいちゃん、もう起きてたの? 」
「うん。 早く寝た分、早く起きちゃって……」
「だよねー、私ももう目が覚めちゃった」
お互いに小声で言いながら、クスクスと笑い合う。
その後、穂乃果ちゃんはトイレへと向かうために部屋を出ていった。
そしてその穂乃果ちゃんを皮切りに、起き出す人がちらほらと現れた。
そのままベッドでスマホを触る人や、小走りにトイレへ向かう人、隣のベッドの人とお喋りを始める人、などなど。
あっという間に賑やかになり、二十分ほどの間で室内に居る全員が起床した。