心霊現象 研究同好会
「あら芽衣子、おかえりー」
「た、ただいまっ……」
「郁也くんがウチに上がるなんて珍しいと思ったら、芽衣子と一緒だったのね。 ほらほら、芽衣子もこっちにおいでっ」
ニコッと笑ったおばあちゃんが、テレビのリモコンを持ち……電源をオフにした。
しん…としたリビングに、緊張感が漂う。
私は恐る恐る近づいたあと、ソファーに居る二人と話がしやすいようにテーブルを少しだけ動かし、ほぼ真正面に正座した。
「で、二人が揃って帰ってきたってことは、何か話があるのよね?」
「恵美子さん。 俺、学校で「心霊現象 研究同好会」ってところに入ってるんです。 実は今日、その同好会で諏訪さんに会いました。 諏訪さんはその同好会への入会を希望しています」
「あら、そうなの? それって芽衣子が自分から入りたいって言ったの? 郁也くんが入れって言ったわけじゃなくて?」
「俺は何も言ってないです。 というか、俺が同好会に顔を出した時、諏訪さんはもう入会の意思を見せていたので。 それで、同好会の活動なんですが……週末は心霊スポット巡りをしています。 俺が週末に家を空けてるのはそれが理由です」
「そうだったの。 毎週 自宅に帰ってるのかと思ってたけど、同好会の活動に参加してたのね。 それって、全国各地のスポットを巡ってるってこと?」
「はい、だから泊まりがけの時もあります。 去年の夏休みは、二週間かけて色々な地域を巡ったりもしました。 でも強制参加ではないので、無理なら無理で構いません。 心配なら旅行は全部 不参加でもいいんです。 それでもいいから、諏訪さんが同好会に入会するのを認めてもらえませんか?」
ソファーに横並びで座っていても、二人は視線を真っ直ぐに合わせている。
私が口を挟む隙間が……一切ない。