心霊現象 研究同好会
スマホの電源を切ったあと、カバンの奥底にしまい込んだ。
そのあと、同じ部屋の人たちと一緒に食堂へと歩き出す。
朝食は既にテーブルに準備された状態になっているから、生徒たちは自分の班の決められた席に座ればいいだけだ。
だから大きな混乱はなく、全員が速やかに着席した。
「いただきます」の挨拶をしたあと、それぞれのテーブルで賑やかに食事が進められるけど……先生たちはみんな緊張した面持ちだ。
そして、食事が終盤に差し掛かった頃。
眉間にシワを寄せた学年主任の先生が、フゥとため息をついたあとに合宿の中止を発表した。
遺体が見つかったことは伏せられていたけれど、「昨日事故があったから」とは伝えられた。
池に女子生徒が…というのはもう周知の事実だし、それをうちの班の男子三人が助けたというのも全員が知っている。
そして、警察官が大勢来た。 ということも……。
みんな口には出さなかったけど、「池のそばでもっと凄い“何か”が起きた」と察している…のかもしれない。
だからこそ中止が発表されても誰も騒ぎ立てることはなく、静かに静かに先生の言葉を聞いているのだと思う。
今 先生が話しているのは、今日このあとの予定のことだ。
朝食を終えたらそれぞれの部屋に戻り、十五分以内にベッド周りを綺麗にすること。
そのあとは荷物を持って駐車場に集合し、そこで施設のスタッフさんたちに別れの挨拶をする。
そしてバスに乗って学校へ戻り、迎えに来た保護者と共に各自帰宅となる。
保護者がまだ来ていない場合が体育館で待機し、どうしても迎えに来られないという場合は教師が家まで送り届ける。
今後の予定は学校のアプリで知らせるから必ずチェックすること。
今回の出来事に関連する、または関連していると思われることをSNSに書き込むのは原則禁止。
既に何らかの事柄を書き込んでしまった人は速やかに削除すること。
ルールを破った者にはそれ相応の処分が下される。ということを頭に叩き込むように。
それでも「匿名ならわからないだろう」とルールを破る者は居るかもしれないが、それに伴って自身の身元が日本中に露見するようなことになっても、学校側では守れない。
自分自身のことだけではなく、家族や友人のことを考えながら行動して欲しい。
……ということが、淡々と話された。