心霊現象 研究同好会
……食堂はずっと静かではあったけど、先生の話を聞いたあとではもっとシーンとして、重苦しい雰囲気に包まれている。
それを破ったのは、如月くんの一言だった。
「センセー。 そんなことよりも、女子を助けた俺ら三人をもっと褒めて欲しいんですけどー?」
いつもと変わらない、明るい声。
喋っていた学年主任の先生はもちろん、他の先生たちも、生徒たちもみんなポカンとした顔で如月くんを見る。
当の本人は、ニッコニコの笑顔だ。
「みんなもう知ってると思うけどさー、池に向かってフラフラ歩いてる女子を見つけたうちの蒼葉が、バッと駆け出したと思ったらアッという間に救出したんだよ。 咄嗟に動けるなんてマジで凄いし、なんと言ってもあの力強い見事な抱擁っ」
と如月くんが高らかに言った直後、キャー!! という黄色い声が響き渡り、一気に場の雰囲気が明るいものへと変化した。
……本当は、一番最初に駆け出したのは如月くんで、女子を救出したのも如月くんなんだけどね。
でもその事実は、本人によってすっかり曲げられてしまった。
その後、如月くんはありもしない倉本くんの武勇伝を続け、そのたびに食堂には黄色い声が飛び交った。
すっかりヒーローに祭り上げられた倉本くんは、肯定も否定もせずにニコッと笑うだけ。
その笑顔がまたファンたちの心をくすぐり、ファンじゃなかった女子生徒たちの心もすっかり虜にしてしまったみたい。
……なんなら、男子たちも見惚れているかも?
まぁ、そんなこんなで……。
暗い雰囲気で終わりそうだった朝食の時間は、最後の最後はなんとか明るい雰囲気で終わることが出来た。