心霊現象 研究同好会
……なるほど。
だからおばあちゃん、来るのが少し遅かったのか。
家は学校のすぐ近くだから「きっと誰よりも早く着いてるだろうな」って思ってたのに、来てなかったからおかしいと思ったんだよね。
で、迎えに来た他の保護者さんはなんとなく緊張したような表情だったのに、おばあちゃんは何故かニコニコ笑顔でルンルンだったし。
そしてこのご飯の量。
最初からお裾分けする気満々…っていうか向こうにおかずを持って行かせる気満々だったんだろうなぁ……。
「彼いいわねぇ。 芽衣子の体質に理解があるし、何よりも笑顔が可愛いっ。 あんな人が芽衣子のお婿さんになってくれたらいいんだけどねぇ〜。 ねぇ芽衣子は彼のことどう思ってるの? 何かラブなエピソードはないのっ?」
……うわぁ。
少し前まで私と郁也先輩をくっつけようとしてたくせに、もう違うこと言い始めてる……。
まったく、相変わらず思考が斜め上なんだから……。
「何もないからっ。 私もう行くからねっ」
「あぁっ、まだいいじゃないっ。 健吾くんのこと聞かせてーっ」
「 い っ て き ま す っ !!」
おばあちゃんの話に付き合ってたらキリがないから、重箱を袋で包んだあと それを持って家を出る。
そしてそのまま、郁也先輩の家へとダッシュで向かった。
ピンポーン
と、チャイムを鳴らすと、数秒後に玄関のドアが開いた。
「芽衣子さん。 いらっしゃい」
いつもと変わらない穏やかな笑み。
郁也先輩が優しく優しく私を迎え入れてくれた。
「郁也先輩、うちのおばあちゃんがすみません。 きっと強引に話を進められましたよね……」
「ふふっ、いつものことだから大丈夫だよ。 さ、入って」
「……すみません、お邪魔します」
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、促されるまま家の中へと入る。