心霊現象 研究同好会


「あの、桜井先輩も居るんですよね?」

「うん、昨日から居座ってるよ。 朝に芽衣子さんの家に軽く挨拶に行ったあと また作業をしてて、今は仮眠中。 そのせいでソファーが埋まっちゃってるから、悪いけど床に座って待っててくれる?」

「あ、はいっ」


「荷物は俺が。 先輩が起きるまで冷蔵庫に入れておくよ」

「お願いしますっ」



重箱を郁也先輩に預け、ソファーの近くまで静かに進んでいくと……タオルケットにくるまった桜井先輩が、無防備な顔で寝息を立てているのが見えた。

その姿を見てふっと笑ったあとに、近くに腰を下ろす。


ソファーの近くにあるテーブルの上にはノートパソコンがあって、その横には心霊系の本やメモが乱雑に置かれている。

それと、飲みかけのペットボトルのジュースと食べかけのスナック菓子の袋。

色々と作業をしてる途中で寝ちゃったんだろうな、というのが見て取れる。


……二人は、いつもここで作業をしてるんだ。

大好きなサイトの管理人ジェイドさんの作業部屋…秘密の場所に居るということを実感して、なんだか胸がいっぱいになる。



「芽衣子さん」



と、その時に、キッチンから戻ってきた郁也先輩が私を見て微笑んだ。



「桜井先輩に聞いたけど、俺を真似て危険なことをしようとしたらしいね?」

「うっ……」



……その微笑みが、怖いです……。


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