心霊現象 研究同好会
「これから先もあの話はしないです。 だから先輩たちも、みんなには内緒にしててもらえれば嬉しいです」
「……ん。 樫村と神代には俺から伝えとくよ。 うっかりポロッと言っちゃったらマジでごめんなさいだけど」
「ふふっ。 そうなったら先輩を恨みに恨みまくります。 生霊飛ばして不幸にさせますからね?」
「生霊飛ばすって何それご褒美じゃんっ」
と、いつもみたいに冗談を交えて笑い合う。
……大丈夫。
ちゃんと、いつも通りだ。
先輩の笑顔は私のよく知る笑顔で、それを見る私も……いつもと同じ。
うん。
やっぱり私は、こっちの方がいい。
いつも通りのやり取りで笑い合える方がいい。
さっきの先輩のことは……ちょっとした事故だと思って忘れよう。
それが一番だ。
「あ、そういえば先輩って、智樹さんの連絡先知ってますよね? 実は今日一度も会わないまま施設を出て学校に戻ったんです。 本当は色々話したかったんですが……。 その後、何か連絡って来てましたか?」
「いや、昨日の夜に連絡が来たっきりだよ。 「明日になったら警察署に行かなきゃー」って言ってたから、第一発見者として色々聞かれてるんじゃないかな」
「あー……やっぱりその可能性が高いですよね。 なんとなくそんな気はしてました」
「でもさすがにもう終わってるだろうし、こっちから連絡してみようか」
テーブルに置いてあったスマホを取り、慣れた手つきで操作していく。
そのスマホを耳にあてた桜井先輩は、少しの間 無言になり……そして、
「あぁもしもし、先輩? 今 大丈夫でしたか?」
私と喋る時よりも少し落ち着いた様子で喋り始めた。