心霊現象 研究同好会


「俺は幽霊さんのことが凄く好きだし、取り憑いてくれたらいいなーって思う気持ちも間違いなく持ってる。 それは否定はしないよ。 でも理想と現実は違うから、俺は取り憑かれない。 だから大丈夫」

「……いつかは、物好きな幽霊が取り憑くかもしれないです」

「その時はその時だし、そうなったら智樹先輩に見てもらえばいいよ。 この仮定が正しければ、透明だった俺に色がつくってことだからね」


「…………先輩は、幽霊が自分の中に入ってきたら凄く喜ぶかもしれないですが、でも私はっ……私は嫌です。 だって心や体にどんな影響が出るかわからないし、最悪の場合は死ぬかもしれない。 先輩がそんな目に遭うなんて……そんなの絶対に嫌です」



そこまで声に出して言って、そして気づく。

私が昨日やろうとしてたことと同じじゃないか、って。

私は自分から幽霊を取り込もうとしてたじゃないか、って。


立場が反転したら、私はこんなにも不安になっている。

大切な人が危険に遭うかもしれない。

その命が失われてしまうかもしれない。


それは、こんなにも……胸が押しつぶされそうになるくらいに、怖いことなんだ。

私はそれを知らなかった。

何も、わかっていなかったんだ……。



「……ごめんなさい、私は自分からコレを……。 大切な人が…危険になるっていうのは……こんなに不安で、苦しくて…怖いなんて……そんなの全然…わかってなくて……」



感情がグチャグチャになって……涙がポロポロとこぼれ落ちる。



「……ごめん…なさい……」



嗚咽混じりの謝罪に、桜井先輩は首を横に振る。



「俺は諏訪ちゃんからいっぱい謝罪を聞いた。 だからもういいよ」

「でもっ……」

「いいんだ」



桜井先輩が、そっと私を抱きしめる。

グチャグチャになった私の気持ちを落ち着かせるように、とても優しく、丁寧に。


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