心霊現象 研究同好会
「諏訪ちゃんはもう自分の過ちに気づいたし、今後それを繰り返すことはない。 そうだね?」
「……はい……」
「うん、だったらもう謝罪は必要ない。 それはもう終わった話だから。 それと、俺のことを心配してくれてありがとう。 俺も無茶なことはしないから大丈夫だよ」
「……先輩は、いつでも無茶苦茶です。 だって幽霊が居たら、絶対…自分から飛び込んでいきますもん……。 馬鹿でアホで…単純だから……」
「うわぁ、相変わらず手厳しいなぁ……」
抱きしめられてるから、先輩の顔は見えない。
でも先輩は多分…笑ってる。
「諏訪ちゃん。 君は知らないかもしれないけど、俺はこう見えて結構 真面目な男なんだ。 その俺が大丈夫って言ってるんだから、絶対に大丈夫。 何も心配いらないよ」
「……胡散臭いから、信用 出来ないです……」
「さすがにそれは酷くない?」
と喋っている時に、誰かが階段を駆け上がってくる足音が聞こえてきた。
抱きしめられてるのを見られちゃうっ。
と思い、先輩から距離を取ろうとするけれど……全然離してくれない。
結局私はそのまま先輩に抱きしめられた状態で、階段を上ってきた人を迎えることとなった。
「健吾くん芽衣子ちゃん、そろそろケーキを……ってごめんなさい、私ってば二人のラブな瞬間を邪魔してしまった……!?」
「あぁなんだ、紗良先輩か。 ちょうどよかった、クローゼットの中にタオルがあるんで、それを濡らして持ってきてもらっていいですか?」
「……えっ、ちょっと健吾くん、いったい何を……って芽衣子ちゃん泣いてる? 大丈夫?」
「すみません、色々あって俺が泣かせました」
「……それはあとでじっくり聞くからね。 芽衣子ちゃん待ってて、すぐ濡れタオルを持ってくるわっ」
クローゼットの開閉音、それと紗良さんがパタパタと駆けていく音。
それが聞こえなくなった時に、ようやく先輩が解放してくれた。