心霊現象 研究同好会
「あっ、お喋りに夢中になってたけど、芽衣子ちゃんはしっかり目を冷やさなきゃダメよっ? ほらほら、タオルっ」
「あっ…そうでしたっ」
「それが終わったら下に行ってケーキ食べましょ。 もちろん、ニコニコ笑顔でね? せっかくケーキを買ってきたのに、暗い気持ちで食べるのは嫌だもの」
「はいっ」
そう言って笑い合ったあと、またタオルを目のところにあてる。
そこから先は、紗良さんとの何気ない会話をゆったりと楽しんだ。
智樹さんと紗良さんの出会いの話とか、学校行事の話とか、紗良さんが飼ってる猫の話とか。
それから、同好会の女子だけを集めてみんなでお茶会したいね、って話したり。
時間で言えば三十分くらいだろうか?
幸い目は腫れることなく、赤みも引いたし気持ちも落ち着いた。
一階に戻るのは少し緊張したけれど……紗良さんに手を引かれてリビングに入ると、先輩たちはみんな優しく私を迎え入れてくれた。
本当は私に聞きたいこともあっただろうに、何も聞かずに笑顔を見せて、いつも通りに接してくれる。
それがとても、ありがたい。
その後、五号サイズのケーキを目分量で切り分け、あれが大きいこれが小さい…なんてワーワー言いながらみんなで笑い合う。
いっぱいご飯を食べたあとだったけど、やっぱり甘いものは別腹だ。
ふわふわのスポンジと濃厚そうな生クリーム、そしてキラキラと輝いているイチゴをいっぺんに頬張り、幸せを満喫する。
そうやって、楽しい楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
──そのあと、みんなで片付けをしてる時におじいちゃんおばあちゃんが迎えに来たので、私は一足先に家に帰ることとなった。
そういえば、桜井先輩は今日もまた泊まっていくことにしたみたい。
私が二階で目元を冷やしてた時に智樹さんに色の話を詳しく聞いてたらしく、それを記事にするための作業を進めるつもりだと言う。
郁也先輩は「自分の家で作業すればいいのに……」って嘆いてたけどね。