心霊現象 研究同好会


【 桜井 健吾side 】


………

……




諏訪ちゃんが家に帰った、すぐあと。



「さて、健吾くん? あなたはいったい芽衣子ちゃんに何をしたのかしら?」



ソファーに座って足を組み、高校時代と同じように冷たい目で睨みつける紗良先輩。

その隣には智樹先輩が座っていて、彼女の肩を抱きながら微笑んでいる。

……睨みつけてくる紗良先輩も怖いけど、智樹先輩は智樹先輩で怖いっつーの……。


で、神代はそんな二人の斜め後ろに立ち、全体の様子を静かに窺っている。

……お前は王族に仕える従者かよ。

なんてことを思いつつ、小さく息を吐く。



「……何、と言われましても……」



と言った俺は、先輩たちの真正面で正座している。

いや、正座させられている。

普段ならテーブルがある位置なのに、優秀な従者の神代によってテーブルは壁際へと移動され、あっという間に謁見の間が完成した。


……部屋全体の空気がピリついていて、息をする音を立てるのも怖い。



「あの子は「昨日のことを思い出して」と私に説明したけど、実際はあなたが何かを言ったんでしょう? 咽び泣くほどの、“何か”を」

「……」

「ほら、心当たりがあるって顔をしてる。 いったい何を言ったの?」



……どう言えばいいだろうか。

いや、言えないな。

だって事の顛末を話すには俺のオーラの話をしなきゃいけないし、俺が立てた仮説の話もしないといけなくなる。


だけどあの話は俺と諏訪ちゃんだけの秘密だ。

秘密にするようにと俺がお願いしたのに、それを俺自身で破るわけにはいかない。


でもあの話をしないと、諏訪ちゃんが泣いた理由へはたどり着かない…よな。

さて、どうするか……。



「桜井、うちの女神は お前が答えるまでずっと帰らない気だぞ? サイトの作業を進めたいなら さっさと言った方がいいんじゃねーの?」



女神…ねぇ。

魔女王の間違いでは? と言いたいところだけど、殺されるからやめておく。


……仕方ない。

オーラの話は上手いこと秘密にして、なんとか言葉を繋げてみよう。


< 214 / 283 >

この作品をシェア

pagetop