心霊現象 研究同好会
【 桜井 健吾side 】
………
……
…
諏訪ちゃんが家に帰った、すぐあと。
「さて、健吾くん? あなたはいったい芽衣子ちゃんに何をしたのかしら?」
ソファーに座って足を組み、高校時代と同じように冷たい目で睨みつける紗良先輩。
その隣には智樹先輩が座っていて、彼女の肩を抱きながら微笑んでいる。
……睨みつけてくる紗良先輩も怖いけど、智樹先輩は智樹先輩で怖いっつーの……。
で、神代はそんな二人の斜め後ろに立ち、全体の様子を静かに窺っている。
……お前は王族に仕える従者かよ。
なんてことを思いつつ、小さく息を吐く。
「……何、と言われましても……」
と言った俺は、先輩たちの真正面で正座している。
いや、正座させられている。
普段ならテーブルがある位置なのに、優秀な従者の神代によってテーブルは壁際へと移動され、あっという間に謁見の間が完成した。
……部屋全体の空気がピリついていて、息をする音を立てるのも怖い。
「あの子は「昨日のことを思い出して」と私に説明したけど、実際はあなたが何かを言ったんでしょう? 咽び泣くほどの、“何か”を」
「……」
「ほら、心当たりがあるって顔をしてる。 いったい何を言ったの?」
……どう言えばいいだろうか。
いや、言えないな。
だって事の顛末を話すには俺のオーラの話をしなきゃいけないし、俺が立てた仮説の話もしないといけなくなる。
だけどあの話は俺と諏訪ちゃんだけの秘密だ。
秘密にするようにと俺がお願いしたのに、それを俺自身で破るわけにはいかない。
でもあの話をしないと、諏訪ちゃんが泣いた理由へはたどり着かない…よな。
さて、どうするか……。
「桜井、うちの女神は お前が答えるまでずっと帰らない気だぞ? サイトの作業を進めたいなら さっさと言った方がいいんじゃねーの?」
女神…ねぇ。
魔女王の間違いでは? と言いたいところだけど、殺されるからやめておく。
……仕方ない。
オーラの話は上手いこと秘密にして、なんとか言葉を繋げてみよう。