心霊現象 研究同好会
「……昨日のことを、今日改めて話したんです。 それで、俺は……俺がどれだけ諏訪ちゃんを大事にしてるか、ってことを伝えたんです」
と、うっすら捏造して伝える。
実際は諏訪ちゃんが俺の身を案じてくれてたんだけどね。
でも俺は……あの時は言葉にしなかったけれど、同じ気持ちだったんだ。
諏訪ちゃんが俺に伝えてくれたのと同じくらいに、俺も諏訪ちゃんを大事に思ってる。
だから捏造した話でも真っ直ぐに言うことが出来るんだ。
「不安で不安で堪らなかった。 胸が押し潰されそうなくらいに不安で、辛くて、苦しくて、心配で。 諏訪ちゃんが死んだらどうしよう、ってずっとずっと怖かった。 ……と、そういうのを全部ぶち撒けました」
そう。
これは紛れもなく俺の本音だ。
ぶち撒けてはいないけど、この気持ちに嘘偽りはない。
「……諏訪ちゃんは、昨日からずっと反省を述べてはいたけれど……「どれだけ周りに心配をかけたか」は気づいていなかった…と思う。 でも、俺が本音を伝えたことでやっとそれを理解した。 だから自分のしたことを酷く後悔して、涙を流しながら俺に謝罪した。 そして俺はその謝罪を受け入れました。 そのあとは紗良先輩が見た通りです」
……と、こんな感じで大丈夫だろうか。
俺的には上手い具合に話せたと思うんだけど……。
「健吾くんっ!!」
「うわっ」
ソファーからなだれ落ちて来た紗良さんが、ギュッと俺の両手を握りしめた。
「ごめんなさいっ!! あなたを誤解していたわっ!! あなたはただ真っ直ぐに自分の思いを伝えただけだったのに、私ってばなんて酷いことをっ……!!」
……うわぁ……また面倒臭いモードに突入した。
黙ってりゃ清楚で可憐な美しい人なのに、実際はなんでこんなに残念なんだろう。
こんなことなら、ただ睨まれてるだけの時の方がよかったよ……。