心霊現象 研究同好会
「そうよねっ、好きな相手のことは心配で堪らなくなるわっ!! だって私も同じ気持ちだものっ!!」
「……先輩、もう少し静かにしましょう? マジで近所迷惑になるんで」
「あぁっ、ごめんなさいっ……!!」
実はこんな人だったのか。 って知った時は驚きすぎて何も言えなかったけど、落ち着いて状況を見られるようになった今は諌めることが出来るくらいにはなった。
まぁ、どこまで強く言っていいかっていうのは顔色を窺いながらだけどね。
それに、紗良先輩だけじゃなくて智樹先輩の顔色も見ておかなきゃ。
この人、基本は常識的だけど……紗良先輩が絡むとちょっと怖いし。
「……えーと、俺から言えることは大体これが全部なんですが、もういいですか? そろそろサイトの方の作業を進めたいのですが」
「あぁそうねっ、邪魔しちゃってごめんなさいっ。 サイトの新しい記事 期待してるわねっ」
「……あ、わかってるとは思いますけど、俺がジェイドだってことはトップシークレットですからね?」
「えぇ、もちろんっ、誰にも言わないわよっ。 智樹、私たちもそろそろ帰りましょっ」
ニッコニコで玄関に向かう紗良先輩。
ようやく解放される……と思って息を吐いた時、智樹さんが静かに声をかけてきた。
「捏造した部分は諏訪ちゃんとしっかり共有しておけよ」
……えぇ……なんで捏造したってバレてるんだよ……。
結構上手く話せたと思ったのに。
「言っとくけど、俺はお前が秘密にしてる内容までは知らねーからな? 直感的に「違うんだろうな」って思っただけ。 そしてその秘密にしてる部分を根掘り葉掘り聞く気はないから安心しとけ?」
「……助かります」
「うん、じゃあまた。 なんかあったら連絡ちょうだい」
「はい、必ず連絡しますので……っていうか昨日の話をするために電話したのに、オーラの話しかしてないっ」
「あ、そういやそうだった。 んー、じゃあ簡単にまとめたものをあとでメッセで送る。 ひとまずそれでいい?」
「もちろんですっ、よろしくお願いしますっ」
すっかり忘れてた。
初っ端に紗良先輩が暴走するから、こんなことに……。