心霊現象 研究同好会
「智樹ー? まだー?」
「今行くっ。 見送りはここでいいよ。 あ、郁也くんも何かあったら気軽に連絡してな? じゃ、また」
と言った智樹先輩は、ひらひらと手を振って部屋を出ていった。
「…………ハァ…………」
マッジで疲れた。
主に、紗良先輩の相手が。
「桜井先輩」
と呼ぶ神代が、真っ直ぐに俺を見る。
「俺は、先輩が隠した部分の 大体の見当はついてます」
淡々と。
だけど どことなく緊張した様子で、神代は更に続ける。
「先輩は、“彼ら”の色を欲しがったりはしないですよね?」
……あぁ、やっぱり神代は気づくのか。
そうだよな。
神代はいつも深く深く考えを巡らせている。
だから諏訪ちゃんがたどり着かなかった部分にまでたどり着くんだ。
諏訪ちゃんは「物好きな幽霊さんが取り憑くかもしれない」という受け身の話で、神代はその反対。
俺が 「自分から“彼ら”の色を欲するのではないか」という懸念を示している。
「……ったく。 相変わらず思慮深いなぁ」
「 「答え」をください」
「んなもん「欲しがらない」一択だろ」
「幽霊のケツばっかり追いかけてるのに?」
「ケツって……。 んー、そりゃあ幽霊さんとお近付きになりたいとは思ってるけどね。 でもそこに俺の色は関係ないよ」