心霊現象 研究同好会


最初に声をかけた時に「可愛い子だな」って思った。

半ば無理矢理に同好会へ連れて行ったのは「この子を知りたい」と思ったからだ。


まぁ、諏訪ちゃん本人は自分を知られることを恐れてたみたいだけど。

でも俺は知ることが出来てよかったし、知ったからこそ「この子のそばに居たい」と思ったんだ。


だけどその時はまだ「先輩と後輩」としての距離で……ちゃんと好きになったのは、もっとあと。

ていうか、昨日…なんだよなぁ。


いや、その前も もちろん好意は持ってたけど。

むしろ知らず知らずのうちで惹かれてたとは思うけど。

でも……自覚したのは昨日なんだ。


諏訪ちゃんが危険なことをしようとしてたって聞いて、頭が真っ白になって、「失ったらどうしよう」と不安で堪らなかった。

俺は、諏訪ちゃんと一緒に居たいんだ。

「先輩と後輩」としてじゃなく、もっと近い場所で一緒に居たい。


と、そう思ってるんだけど……。



「……なぁ神代、俺と諏訪ちゃんって両思いだと思う?」

「なんですか藪から棒に」

「いや、諏訪ちゃんが俺に言ったんだよ。 「先輩とのやり取りが好きです」って。 「この先もずっとこんな風に一緒に笑って過ごしたいです」って」


「で?」

「 「俺も同じ気持ちだよ」って伝えて、「一緒に笑い合う時間が好き」、「そばに居たい」って返した。 電話で…だったけど、これはお互いに好きってことで大丈夫だよな? それとも……俺の勘違い?」



そう言いながら、今日のことを思い出す。

今日…俺が仮眠を取ってた時のことだ。

いつの間にか来ていた諏訪ちゃんに起こされて、俺はそのまま諏訪ちゃんの頬に触れた。

気持ちを隠す必要はない。

そして諏訪ちゃんも俺の想いに応えてくれる。

と思ったけど、その先に待ってたのは……確かな拒絶だった。


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