心霊現象 研究同好会
俺から距離を取った諏訪ちゃんはずっと警戒した様子だった。
さすがの俺も「これはヤバイ」と即座に気づくほどに。
そのあと謝罪して、「何もしないから」と約束をした。
そしてその先は……いつも通り。 「先輩と後輩」として会話するだけだった。
「……神代が智樹先輩たちを連れてくる前、俺 仮眠取ってたじゃん? そこを諏訪ちゃんに起こしてもらったんだけど、その時にこう、ふわっとね? 超ソフトに諏訪ちゃんの頬っぺたに触れたわけ。 そしたら…物凄い勢いで距離を取られて、メッチャ警戒されちゃったんだよね……」
「あー……なるほど」
「……すぐ謝って「もうしないから」って約束したら近くに来てくれたけど、そのあとはまぁ、いつも通りなわけで……。 ってなると、やっぱりコレは両思いとは違う…よなぁ……?」
「残念ですが違うでしょうね」
……ですよね。
うん、知ってた。 超知ってた。
やっぱりそうだよなぁ……。
「まず、芽衣子さんは「先輩との“やり取りが”好き」と言ったので、先輩自身を好きとは言ってないわけですよね。そして先輩も「“一緒に笑い合う時間が”好き」と言ったので、芽衣子さん自身を好きとは言ってません」
「……うん……」
「芽衣子さんは桜井先輩を尊敬はすれども恋愛対象としては見ていない。 そんな感情は持ち合わせていない。 ってことだと思います。 そしてアホな先輩は「自分も同じ」と返してしまったわけです。 つまり、きちんと伝えなかった先輩が悪いってことですね」
返す言葉もない。
いやほんと、その通りだと思う。
諏訪ちゃんにとって、俺は「良い先輩」で終わりなんだろうなぁ……。