心霊現象 研究同好会


で、外で待つのは私と倉本くんってことにしてたんだけど、倉本くんは今、郁也先輩と梨乃先輩と何かの話題で盛り上がっている。

凄く興奮した様子で、時間のことはすっかり頭から抜けちゃってるみたい。


それはそうだよね。

だってサイトの大ファンの倉本くんにとったらこの場所は聖地なんだから、興奮しないわけがない。

そんな楽しそうな雰囲気を壊すのは…と思ったから一人で外に行こうとしたけど、桜井先輩も一緒に来てくれることになった。


靴を履いて、玄関から外に出る。

けど、さすがにまだ来てないみたい。

外を歩いてる人の姿はなく、車が一台 目の前の道路を通り過ぎていっただけだ。



「まだみたいだし、座って待ってましょうか」

「うん」



玄関ポーチに並んで座り、フゥと一息つく。

家の中では倉本くんが興奮した声を上げてるだろうけど、一歩外に出ると声は全然届かない。

とても静かだ。


……そして、静かと言えば…今日の桜井先輩はとても静かだ。

いつもならもっと色々なことを話すのに、今日は必要最低限なことだけ…って感じで、ほとんど会話がない。

今も、とても落ち着いた雰囲気で隣に座っている。



「あの……先輩。 もしかして何かありました?」

「ん?」

「今日、凄く静かだな…って思って」



思い切ってそう聞くと、桜井先輩はふっと笑ってから首を横に振った。



「何もないよ」

「……ほんとに?」

「うん、ほんとに何も。 大丈夫だよ」



と言われるけれど、やっぱり違うように見える。

心なしか、あまり目も合わないような気がするし……。


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