心霊現象 研究同好会


「……でも、やっぱりいつもと違う気がします。 普段なら、もっとこう……」

「馬鹿みたいに騒いでる?」

「……すみません。 だけど…そう思います」



いつもなら、倉本くんと大盛り上がりで会話をしてるのは桜井先輩だ。

でも今日は違っていて、一歩引いたところに居る気がする。

だから、違和感があるんだよね……。



「んー……」



と何か迷ったような表情をした桜井先輩が、そのあと優しく私を見つめた。



「……今ね、ちょっと色々、考えてることがあって。 それがこう、頭の中であちこちに散らばっちゃってる状態で。 ちゃんと一箇所にまとめたいのに、上手くまとまらない。 そういう感じがずっと続いてるんだ」

「……そう、なんですね……」

「心配かけてごめん。 でも本当に大丈夫だよ」



とても優しく。

だけどそれでもやっぱり、どこか迷ってるような…そんな顔。


先輩は今、何を考えているんだろう。

口数が減って、元気がなくなってしまうくらいに…何を思ってるのかな……?


サイトのこと?

同好会のこと?

それとももっと、別のこと?


知りたい。

でも……聞けない。

「大丈夫」と線を引かれてしまったから、これは聞いちゃダメなことなんだと思ったし、実際にそうなんだと思う。


……私は、ただの後輩だから。

私には、先輩の思考を深くまで聞ける権利はない。



「……あまり、無理はしないでくださいね」



無難なことしか言えない私に、桜井先輩はまた微笑む。

きちんとした返事はなく…ただただ静かに時間が過ぎていく。


──結局その後、みんなが到着するまで私と桜井先輩はお互いに無言でそこに座ってるだけだった。





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