心霊現象 研究同好会


ていうか、触れられるわけがない。

諏訪だけならともかく、もう一人の男性のことを俺たちはまだ何も知らない。

言わば俺たちは、現時点では部外者だ。


透たちが何も言わなかったのも、きっと同じようなことを思ったからだと思う。

だから今はひとまず、中に入って自己紹介を済ます。 それがいいと思う。

そうすればこの男性が何者なのかがわかるし、どうして妙な雰囲気になっていたのかもわかる…はず。


ということで、俺たちはそのままリビングへと足を進めた。



「わっ、いらっしゃーい!! 初めましてーっ!!」



と笑う女性と、その隣に立つ落ち着いた雰囲気の男性。

そして……、



「裕翔っ!! 透っ!! やっと話せるっ!! なぁなぁマジで凄いから聞いてっ!! ここが秘密の作業場所っ!!」



……と目をキラキラさせる蒼葉。

コイツはいったい何を言ってるんだ……。



「倉本、そろそろ落ち着け? えーと、じゃあまずは俺から挨拶しようか。 心霊現象 研究同好会へようこそ。 俺が会長の桜井 健吾です」



と微笑んだのは、諏訪と一緒に玄関のところに居た男性だった。

そっか、この人が桜井先輩……。

合宿中、無茶をしようとした諏訪のことを電話越しに叱りつけた人。

それがこの人なんだ。


……じゃあ二人が気まずそうに座ってたのは、そのことが原因?

いや、でもそのあと和解した…みたいな感じのことを諏訪からの連絡で聞いたから、もっと別の理由?

なんなんだろう。

結局、よくわからないな……。

と思ってる間に、他の先輩たちも自己紹介を始めた。


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