心霊現象 研究同好会


まずは、桜井先輩と同じ三年生の樫村 梨乃先輩。

「名前で呼んで大丈夫だからねー」とのことなので、今後は梨乃先輩と呼ぶことにした。

去年まで女子は一人だったらしいから、諏訪以外にも女子が増えることをすっごく喜んでいる。


そのあとに名乗ったのは、二年生の神代 郁也先輩。

そして諏訪と似た体質だという話が本人から改めて伝えられた。

……この人は、周りのことをよく見てる人…だと思う。


現に今、俺たち一年生のことを凄く観察してる。

もちろん、そうだとわからないようにごくごく自然に。

それに気づいたのは、俺も同じように先輩たちを観察してるからだ。


一年生側から最初に挨拶をしたのは、我らがリーダー龍泉寺 透。

いつもと変わらない穏やかな口調で挨拶をし、そのあとに「彼女です」と桐生のことを紹介し始めた。

で、その桐生が「彼女」という響きに照れながら自己紹介したあと、続いて住吉も挨拶をする。


……という流れの中で、俺はみんなの挨拶に耳を傾けながら さり気なく先輩たちの様子を窺っていた。

それと同じようなことを、神代先輩もやっている。

そして……、



「はい、最後は如月くんねっ」



……と住吉が言った時に、神代先輩とバッチリ目が合った。

先輩は何も言わなかったけど、どこか含みのある笑みを浮かべている。

……俺が先輩たちを観察してたってことは、絶対バレてる。

まぁ俺が気づくくらいだから、先輩も気づくか……。



「……あー、えっと、如月 裕翔って言います。 心霊系の話は実はメッチャ苦手なので、 “何か”が起きたら誰彼構わずに縋ると思います。 女性の皆さんには引っつかないように気をつけますが、咄嗟の時はマジでごめんなさい。 その時は全力でぶっ叩いてくれて大丈夫です。 むしろそれで正気に戻るかなって思ってるので大歓迎です。 こんな奴ですが、よろしくお願いします」



と挨拶し、頭を下げる。

先輩たちから「よろしくー」と歓迎の言葉と拍手をもらい、ホッと一息つく。

そして、そのあと。



「えーと、じゃあ顔合わせが終わったところで、俺からもう一つ話をするね」



と、桜井先輩が微笑む。

そこで話されたのは、桜井先輩が超有名な心霊系のサイトの創設者だ、ということだった。


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