心霊現象 研究同好会


──神代先輩の家を出て、徒歩で近所のスーパーへと向かう。

その途中で、静かに声をかける。



「……あの、桜井先輩。 諏訪となんかありました?」



単刀直入に。

二人が普段どんな感じで喋ってるかはわからないけど、玄関先に座ってた二人は明らかに様子がおかしかった。

だからこそ、真っ直ぐに問う。


それに対し、桜井先輩は……どこか困ったような笑みを浮かべた。



「それって、玄関での…を見たから、言ってるんだよな?」

「はい。 俺は桜井先輩とは初対面ですが、諏訪のことは少しだけ知ってます。 アイツがあんな風に下を向いて無言で座ってるなんて、絶対に何かありましたよね。 何か…言ったんですか?」

「……逆に、何も言ってない。 何も言えなかったから こうなってるんだと思う。 諏訪ちゃんは悪くないんだよ。 俺が勝手に、距離を開けちゃってるだけだから」



弱々しい笑顔。

状況を変えたいのに上手く出来なくて、悩んでる顔…って感じだ。


……つーかコレって、多分アレだよなぁ。



「先輩は、諏訪のことが好きだから色々と悩んでるんですね」



そう言った俺を見た桜井先輩が、一瞬 驚いたような顔をした。

でもそのあとすぐ、気まずそうに視線を逸らされる。


コレはもう、確定だな。



「桜井先輩は諏訪が好きだけど、諏訪は多分「良い先輩」ってしか思ってない。 つーことで、先輩は今後の接し方に悩み中。 その結果 今までみたいに話せなくなってギクシャクしちゃってる。 って感じですかね」

「……えぇ……なんでわかるんだよー……」

「んー、俺も今は「良い友達」で止まってる状態なんで。 だから、なんとなくそうかなって思ったんです」


「……つまりは、ライバル……?」

「あー、そうなりますね」



肯定しつつ、ニコッと笑う。

まぁ実際は、この先も「良い友達」で構わないって思ってるんだけどね。


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