心霊現象 研究同好会
先輩の体を支え、ゆっくりと歩き出す。
……マジで熱いじゃん。
ずっと、こんな状態だったのか……?
あぁ、クソ。
先輩のこと、観察してたのに。
なんで俺は、こんな状態になるまで気づかなかったんだよ……。
「……先輩、もう着きますよ。 家には誰か居ますか?」
その問いに、先輩は首を横に振る。
「じゃあ中まで運びます。 先輩の部屋は?」
「……廊下を…真っ直ぐ……突き当たりの……鍵は…ポケット…に……」
と言ったところで、先輩の体からガクンと力が抜けた。
家に着いたという安堵感からか、気を失ってしまったみたいだ。
「ちょ、先輩っ……。 クソ、マジかよ。 えっと、鍵はポケットって言ってたよな。 あぁもう、どこのポケットだよっ……」
バランスを崩さないよう必死に体勢をキープしながら、なんとかズボンの左ポケットから鍵を取り……玄関を開ける。
念の為「ごめんくださーい」と声をかけるけど、人の気配はない。
先輩が伝えてくれた通り、家には誰も居ないらしい。
だからそのまま、先輩が必死に絞り出した言葉の通りに廊下を進んでいき……突き当たりのドアを開ける。
先輩の言葉が正しければ、ここが先輩の部屋だ。
……ベッドと本棚と、勉強机。
たったそれだけがあるシンプルな部屋だ。
「……っし、あと、少しっ……」
俺の体力もそろそろ限界が近づいている。
最後の力を振り絞り、ギリッギリの状態でなんとか先輩をベッドへと寝かせることに成功した。