心霊現象 研究同好会
「……」
俺の言葉を聞いた梨乃先輩は、無言だった。
さっきまでは俺の方を向いていたけど、今は下を向いている。
その横顔は相変わらず真っ赤で……どこか、混乱してるようだった。
そんな状態のまま、俺たちは公園に到着した。
日曜日の昼間だけど、人の姿はない。
俺たちはそのまま公園の奥へと進み、木陰にあるベンチに腰かけた。
座ってすぐ、梨乃先輩が真っ直ぐに俺を見る。
「神代くん、あのっ……」
「郁也でいいですよ、梨乃先輩」
「……郁也くん…の言葉は、本物……なんだよね……?」
「はい」
「……どうして、急に言ったの? だって、今までずっと……私がどれだけ好きって伝えても、ずっと…はぐらかすような態度だったでしょ……?」
今にも泣き出してしまいそうな不安そうな顔で、声も震えている。
それもそうか。
だって俺はずっと先輩の想いには応えずに過ごしてきたから。
先輩としては好き。 仲間としては好き。 そういう態度だった俺が突然「一人の女性として好意を持っている」と伝えたら、混乱して不安に思っても仕方がない。
だから俺は、先輩の不安がなくなるように静かに静かに話す。
いつもよりもゆっくりと、自分の中の思いを整理しながら。
「……少し、昔話をしますね」
と前置きし、梨乃先輩に微笑みを見せる。
「高校に入学する前、俺は人との距離を取って過ごしてきました。 というか、距離を取られて過ごしてました。 それはもちろん、自分の体質のことがあったからです。 今よりも幼かった頃は、自分の力のことをあまりよく理解してなくて……気味の悪いことを、平気で言ってしまっていたので」