心霊現象 研究同好会


俺の過去の話は、これまでの間になんとなくは伝えていた。

だけど今みたいにハッキリと伝えるのは初めてだ。



「自分の力がなんなのかを理解してきたのは、小四の時で……そこから小学校を卒業するまで、ほとんど学校には行かなかったです。 中学は学区の都合で知り合いが少なかったので、なんとか三年間通いましたが……それでも休む日は多かったです」

「……そうだったんだ……」

「だけどこのままじゃダメだよな、と思って、勉強をメチャクチャ頑張りました。 そして、今の高校に入学した。 誰も知り合いが居ない場所で、地味でもいいから「普通」で「当たり前」の毎日を過ごしたい。 そう思ったんです。 でも……」



……でも、今まで家族以外とほとんど接触がなかった人間が、突然「普通」に出来るわけはなく。



「……俺は周りとコミュニケーションを取ることがとてつもなく苦手で、「普通」で「当たり前」のことですら難しかった。 だから、高校でも孤立してしまうだろうな…と、すぐに思いました。 俺は「普通」のことも出来ない。 そんな自分に失望してた時、桜井先輩に出会って……梨乃先輩に出会いました」



一人でぼんやりと部活勧誘のポスターを見てた時、桜井先輩に声をかけられて。

半ば強引に空き教室に連れて行かれて。

そこで梨乃先輩にも出会ったんだ。



「一目惚れだったんです。 太陽みたいに笑う先輩が、とても眩しくて、綺麗で。 この人と一緒に居られたらどんなに幸せだろう。 って、そう思ったんです。 だから俺は心霊現象研究同好会に入ったし、先輩に嫌われないようにと努めてきました。 だから先輩から告白された時、本当は天にも昇る思いだったんですよ」


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