心霊現象 研究同好会


メチャクチャ嬉しそうな顔で笑う梨乃先輩が、ハッと何かを思い出したような顔をした。

それと同時に、俺も思い出す。

多分、考えてることは一緒だ。



「ていうか私たち、桜井のところ行かなきゃだったよねっ。 如月くんを待たせてたの忘れてたっ。 早く行こうっ」

「ですね、俺も今 思い出しました」



お互いに急いで立ち上がり、ごくごく自然に手を繋いで歩き出す。 というか、走り出す。

そしてその数分後、息を切らしながら桜井先輩の家に到着した。


出迎えてくれた如月は、手を繋いだままの俺たちを見てすぐに事態を察したらしく……、



「……到着が遅いと思ったら、二人でイチャイチャしてたんですね」



と、どこか呆れたような顔でそう言った。



「まったくもう、こっちは大変だったのに……。 で、お二人はラブでハッピーな関係になったってことで合ってます?」

「うん合ってるっ。 ようやく郁也くんと気持ちが通じ合ったのっ。 ずーっと私の片思いだと思ってたけど実は両思いだったのっ」

「そりゃあようございました。 とりあえず俺、向こうに戻っていいですか? ていうか桜井先輩がこんな状態だったら、今日は解散の方がいいですかね?」


「え、あー…どうしよっか? そのへん全然何も考えてなかったや。 郁也くん、このあとどうしよう?」



梨乃先輩が、指示を仰ぐように俺を見る。

それに合わせて如月も俺を見た。



「俺が決めちゃっていいんですか?」

「うん、郁也くんに任せるっ」

「んー……とりあえず桜井先輩の状態を見てから決める、ってことで。 よっぽど酷いようなら病院に連れて行った方がいいですしね」


「オッケー、じゃあ桜井のところに行こっ」



ということで、三人で桜井先輩の部屋に入る。


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